路線価が公表される前でも、相続税申告の準備は進められるのか

相続税の申告において、土地の評価を行う際には「路線価」を用います。
路線価は、毎年7月1日に国税庁から公表されます。
そのため、土地が相続財産に含まれる場合、その年の路線価が公表されるまでは、土地の評価額を最終的に確定することができません。
例えば、1月1日に相続が発生した場合、相続税の申告期限は11月1日です。
しかし、その年の路線価が公表されるのは7月1日です。
つまり、原則として最終的な評価や申告は7月1日以降になります。
土地が相続財産にない場合は、路線価の公表を待たずに進められることもあります。
しかし、土地がある相続では、路線価の公表時期が申告準備に大きく関わります。
路線価の公表時期と相続人の不安
ここで、相続人の方と税理士事務所との間にミスマッチが生じることがあります。
相続人の方は、大切なご家族を亡くされた後、葬儀、四十九日、役所での手続き、保険や預金の手続き、相続登記など、多くの対応に追われます。
その中で、相続税申告についても「できるだけ早く終わらせたい」「早く日常生活に戻りたい」と感じるのは自然なことです。
一方で、税理士事務所側は、路線価が公表される7月1日まで作業を本格的に進めないことがあります。
路線価が出る前に評価を行っても、後で修正が必要になる可能性があるためです。
また、会計事務所は5月頃まで繁忙期であることも多く、結果として7月以降まで作業が先送りされる場合もあります。
しかし、相続人の方からすれば、6か月以上も待たされることになります。
7月になってから評価を始め、財産評価に1か月程度かかり、その後に「この評価をもとに分け方を考えてください」と言われても、申告期限までの時間は限られています。
土地や不動産がある相続では、早めの整理が重要
相続財産がすべて現金であれば、分け方は比較的整理しやすいかもしれません。
しかし、土地や建物、非上場株式、古い不動産などが含まれる場合、評価だけでなく、誰が何を引き継ぐのか、売却するのか、維持するのかといった検討にも時間が必要です。
当事務所では、このような場合、前年の路線価を用いて仮の評価を行います。
もちろん、前年の路線価による評価はあくまで概算です。
7月1日にその年の路線価が公表された後、最終的な評価額や税額は改めて確認します。
しかし、函館周辺では路線価の変動が比較的小さい地域も多く、前年路線価による概算評価でも、遺産分割を考えるための「物差し」としては十分に役立つ場合があります。
最終的な税額に多少の差が出ることはありますが、相続人の方が早い段階で全体像をつかむことには大きな意味があります。
実際に、相続発生後の早い段階で概算評価を行うことで、納税額の目安や分け方の検討が進み、速やかな遺産分割協議が行えます。
北海道では季節も実務上のポイントに
また、北海道では季節の問題もあります。
現地調査が必要な不動産については、雪が降ってからでは確認が難しくなることもあります。
早めに動くことは、単に気持ちの問題だけでなく、実務上も重要です。
相続税申告では、正確性が何より大切です。
7月1日前に申告書を提出することはありません。
ただし、申告書を出せない時期であっても、資料収集、財産の洗い出し、概算評価、遺産分割の方向性の検討など、進められることは多くあります。
早めにできることを進め、負担を減らす
相続税申告は、税額を計算するだけの手続きではありません。
相続人の方が、限られた期間の中で財産の全体像を把握し、納得できる形で話し合いを進めるための手続きでもあります。
当事務所では、正確性を大切にしながらも、相続人の方の不安に寄り添うスピード感を大切にしています。
路線価が公表される前だから何もできない、ということではありません。
早めにできることを進めることで、相続人の方の精神的な負担を少しでも減らしたいと考えています。

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